幸せはシャンソニア劇場から

下町の人々から愛されるミュージックホール・シャンソニア劇場が不況のあおりを受け、不動産屋に取り上げられる事態に。支配人のピグワルは仲間たちとともに劇場を取り戻そうと、オーディションにやって来た美しい娘ドゥースの類まれな歌声を頼りに、再び公演を始めるが…。


舞台は1936年のパリ。当時の町並みや生活がリアルに再現されていて、レトロな雰囲気がとてもいい感じ。世界恐慌の真っただ中で、そのときどきの情勢がバーのメニューからわかるのがおもしろい。華やかなショーやアコーディオンに乗せて流れてくるシャンソンがすごくおしゃれで、思わずリズムを取りたくなってしまった。
そんな中、仲間たちが協力し合って劇場を再建しようとする姿がコミカルに描かれていて微笑ましい。途中、仲間の裏切りや二度目の差し押さえなどさまざまな障害があったけれど、それらを乗り越え固い友情で結束し、成功を収めた彼らには観ているこちらも心が躍った。ミュージカルシーンが本当に楽しそう。
でも物語の冒頭は、意外な結末から始まる。この幸せな日々がどうしたらあそこに行き着いてしまうんだろう、という疑問と不安が常にあって目が離せなかった。
不況による失業者、という点は現代にも通じるんじゃないだろうか。そんな人々が奮闘する姿に元気づけられ、負けてられないな、と思う。哀しい出来事もあったけれど、最後は温かい気持ちになれる話。親子愛と友情にほろりとさせられた。
ヒロイン・ドゥース役のノラ・アルネゼデール(19歳!!)の歌声が素晴らしい! あとジョジョ坊や役の男の子がかわいかった…!!
ちなみに原題は『Faubourg 36』*1なんだけど、この邦題はセンスあると思う。
★★★

*1:フォーブル=下町って意味。