Disney's クリスマス・キャロル

金がすべてで、家族を持たず、人とのきずなに背を向け、ただ己の金銭欲を満たすためだけに生きるスクルージは、街一番の嫌われ者。あるクリスマス・イブの夜、かつてのビジネス・パートナーの亡霊が現われ、スクルージを彼自身の過去・現在・未来をめぐる時間の旅へと連れ出す亡霊にとりつかれると予言する。


今週で吹替版3Dの公開が終わるのでまたしてもすべり込み。
なんか評判はイマイチみたいなんですが…私はすごくよかったなあ。今年何本か3D作品を観たけど、これが一番の立体感と飛び出し具合だったと思う。*1 まあでも眼鏡重いし目ぇ疲れるし、苦手な人は二度と観たくないって思うだろうな3D。
そんなわけで映像がすごくきれいだった。全体的に暗いトーンだったけど、クリスマスの温かな雰囲気やすがすがしいラストとの対比になっていたと思う。空を飛ぶシーンの疾走感はアトラクションさながら。でもマーレイの亡霊とかはリアルかつおどろおどろすぎて子供泣くんじゃなかろうか。
原作が超有名作ということもあってか、設定やストーリーにあんまり説明がない。マーレイが生前どんな人物だったからああなっちゃったんだとか、スクルージの生い立ちだとか。ちゃんと観てればわかるんだけど、小さい子には、人は死ぬとあんな恐ろしい目に遭うのか…とか勘違いされそう。
つくりは子供向けなのに、ストーリーはわりと大人向けなのがなあ。キリスト教ベースだし。反面、あーディズニーだなーというシーンや動きがちょいちょいあって(例:太っちょおばさんの驚異的なスピン等)、作風と合っていないからすごく違和感があった。


字幕版はジム・キャリーが七役も声を当てているのが話題だったけど、吹替版だと山ちゃん大活躍だった。この人やっぱりすげーな、スクルージとかまるっきり老人声なんだもん。あと観た人にしか伝わらないけど、過去のクリスマスの精霊のしゃべり方を真似したくなる。
スクルージはまったく好きになれないじいさん(という設定)なんだけど、ずっとネグリジェ&ナイトキャップ姿なのがなんだかかわいい。見たくない光景に目を背けても、無理やり顔を向けさせられたり摘まみ上げられたり。
体が縮んじゃうシーンでは、雪の降り積もる音がすごかった。


で、ラスト。ここ最近観た映画の中では一番泣いた気がする…。
改心したスクルージの姿になぜだか涙が止まらなかった。泣けたからいい作品というわけじゃないけど、恋人を死なせて感動とか謳ってるあれやこれやに比べたら、よっぽど意味のある素晴らしい感動だったと思う。
話の教示自体はキリスト教のそれなんで、日本人的にはうーん…という感じかもしれないけど、クリスマスの本当の意味での素晴らしさを教えてくれる作品。そしてそういう話で感動できる純粋な自分がまだいることに気づかせてくれた作品(笑)
正直前半はうつらうつらしちゃったし、おそらくターゲットにしているであろう子供にはちょっと難しい話だったけど、でも150年以上経っても名作は色あせないものだなあ。こういう作品を観て、内容は理解できなかったとしても、おもしろかった! と言ってくれる子供がひとりでも多くいてくれたら嬉しい。なんつって。
★★★

*1:でもそれ以上に『アリス・イン・ワンダーランド』予告のチェシャ猫がはんぱなく飛び出していた!